石油連盟の「国際油濁シンポジウム」は、1995年OPRC条約発効の年に、「国際協力と石油産業の取り組み」をテーマとして第1回を開催以来、将来起こりうる大規模な油濁事故災害に備えるため、すでに発生した大事故の教訓を学び、また油濁対応技術の動向、対応資機材の新規開発動向等に関する情報を得、さらに国際的な人脈を形成しそれを維持することを旨として回を重ねすでに13回を数えている。
本年度は第14回目にあたるが、この間海運業界、石油業界その他関係機関の絶えざる努力と国際的な条約、協定による事故防止策、事故発生後の被害極小化のための対策等、関係者の協力により大規模な事故や被害は大幅に減少してきている。
こうした状況下、大規模事故に備えて創設され、現実の事故に対処してきた油濁対応組織は、平常時が長期継続することにより緊急時に採った現実の対応の記憶が薄れるとともに、組織の目的意識、存在意義までもが徐々に希薄化することが危惧されるなかで、形式的な訓練・演習を繰り返すことになっていないか。
今回のシンポジウムは、1997年のナホトカ号事故及びダイヤモンド・グレース号事故以降、幸いにも大規模な事故を経験していないわが国にあって、自戒の念を込めつつ「油濁事故対応の現実と訓練・演習とのギャップ」をテーマとし、国際的な油濁対応組織、産油国国営石油会社、国際海事機関その他の機関を招聘して、平時のこれら組織の活動について検討、今後の石油連盟油濁防除資機材基地の運営、訓練・演習のあり方等に資することとしたい。

及川　洋　経済産業省 資源エネルギー庁
               資源･燃料部 石油精製備蓄課長

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