わが国の石油産業は、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」、「石油コンビナート等災害防止法」などの規定
と法令および企業の自主的な判断に基いて、オイルフェンスや油処理剤などの油濁防除資機材を保有しています。さらに、1973年(昭和48年)に石油連盟
の加盟会社を中心にして広くその他の石油関係会社も参加する相互援助組織として「海水油濁処理協力機構」を設立するなどして、万一の石油流出事故発生に対
して万全の対応体制をとっています。
しかし、1989年(平成元年)3月にアラスカ沖で発生したタンカーの座礁事故(原油4万トン流出)を契機に、石油の流出に対する対応能力の強化と国際協力の必要性について国際的な認識が高まりました。
このような国際情勢の変化を背景に、経済産業省(旧:通商産業省)は、石油の安定供給を確保するという観点から、国内外の大規模な石油流出災害に対応
する体制の整備に関する補助事業制度として「大規模石油災害対応体制整備事業」を平成2年度(1990年)の政府予算で創設しました。この事業は、「油濁
防除資機材を備蓄し、大規模石油流出災害時に災害関係者などの要請により資機材の貸出しを行い、災害の拡大防止に貢献し、さらに国内外の大規模石油流出災
害に対する対応体制の整備を図ることにより、我が国の石油の安定供給に資する」ことを目的としています。 |