平成9年7月2日に発生した標記事故に関しては、流出油による被害を最小限に
留めるべく、業界を挙げて、処理作業に協力した。
石油業界の具体的対応の概略は下記のとおりである。
記
1. 石油連盟の対応
荷主(三菱石油(株))の協力要請を受け、直ちに資機材移送を行うと
ともに、2日13:00に「ダイヤモンドグレース号流出油防除支援対策本部
(本部長:出光会長)」を設置
同時に、加盟全杜による支援対策委員会を開き、石油業界を挙げて事故処理
に協力する体勢をとった。
具体的対応は次のとおり
(1) 2日 12:20、石油連盟油濁防除資機材第1号基地(極東石油工業(株)
千葉製油所内)から、固形式オイルフェンス8,000m、充気式オイルフェンス
750mを順次現場に向けて搬出
(2) 2日 17:30、同第4号基地(昭和シェル石油(株)新潟製油所内)からオイル
フェンス2,420mを第1号基地に移送することを決定、3日午後には移送完了
(3) 2日 19:20、1号基地から、油回収機2基、仮設クンク1O基を搬出
(4) 2日〜3日、気象予報データのリアルタイム・オンライン取り込みによる
流出油漂流予測シミュレーションを事故対応の参考に供するとともに、
同ソフトを報道関係者等に説明
(5) 2日、第3管区海上保安本部に石油連盟海水油濁処理協力機構から3名を
派遣、同本部等からの応援要請に備え、迅速な連絡体勢をとる。
(6) 3日、鉄鋼、電力、石化等26業界団体、及ぴ全漁連(各漁連には全魚連を
通し連絡願ったところ)等に対して石油連盟及び石油各社の事故対応について
情報連絡、さらに石油各社に対して各社から各地元のユーザー、関係団体等
への情報連絡を要請
(7) 4日、千葉県漁連を通し富津漁連からオイルフェンスの支援スタンバイ要請、
これを受け、海油協支部長会杜(コスモ石油(株)千葉製油所)で待機
(8) 4日、充気式オイルフェンス750m返却、固形式4,000m返却、油回収機2基、
仮設タンク10基返却
(9) 6日、固形式2,880m返却
(以上により、基地未返却はダイヤモンドグレース号の周囲に展張した
固形式オイルフェンス1,120mのみとなった)
なお、4号基地(新潟)から1号基地(千葉)に移送したオイルフェンス
2,420mは返却準備中
(10)9日17:00、支援対策本部解散
2.石油会杜の対応
石油連盟の協力に加え、石油各杜(関連会杜を含む)から、合計9,860mの
オイルフェンスの供出、作業船等27隻(うち油回収船3隻)の出動、現場での
作業、人員の派遣、油処理剤、油吸着剤、油吸着マット、ドラム缶等の供出等を
実施
以 上
【参考】
事故の概要7月2日10:20頃日本郵船(株)運航のパナマ船籍原油タンカー
「ダイヤモンドグレース号」、(1994年8月建造、26万DWT、積載物は
原油30万5千KL、荷主は三菱石油(株))が、東京湾桟浜沖中の瀬で座礁、
ウムシャイフ原油1,550KLが流出(2日時点での15,000KLとの発表を、3日、
運輸省が訂正)
同船は、2日20:00、京浜港川崎シーバースに着桟
7日14:00、ダイヤモンドグレース号からの原油抜取り完了
7日13:10、離桟、三菱重工(株)横浜製作所へ移動(仮修理)